Powered By Blogger

2011年8月29日月曜日

私的疫学調査:5%!?

毎度空念仏の如く「ただちに健康影響を及ぼす数値ではない」のフレーズにはいい加減食傷気味になる。それを裏付ける、具体的な調査データを示せと言いたくなるのだが・・・。

---

放射線の健康に及ぼす影響がよく分からない。疫学調査データが公開されてはいるが、対象は原子力施設で働いている方々のようである。より影響が甚大と考えられる子供達についてのデータはないものであろうか。例えば、原発施設に近い小学校OBを追跡調査したものである。今回事故った原発が稼動して40年は経過しているので、周辺の学校から何らかの調査データがあっても良いのではないか。(過去に何度か発行された小中学校のOB名簿を丹念に調べるだけでも貴重なデータが得られると思うのだが・・・。) ただ、放射能漏れがなければ、異常は確認できないとは思うが・・・。

兎に角、今回の放射能の自然界への放出量は空前絶後であることには明らか。これから何十年にもわたり疫学調査を行っていく必要があるが、その対象は現在の保育園児や小学生を学年別に分け、卒業後も定期的にフォローしていくべきである。県や市町村がこのような健康調査を行っていれば、何十年後かに不幸にして放射線による健康被害が現れた時、政府・東電に補償を請求する上でも有力な証拠データになろう。年金問題もそうであるが、巨大組織は都合よく担当者をコロコロ替えていく。その対策としても、誰でもが納得し得る分り易い客観データを用意しておく必要がある。

---

拙者の田舎の同級生たちは、これまで厄年のたびに前厄祝いを開いてきてくれた。来年に控えた還暦祝いについても、打合せに入ったところで被災し、今はそれどころでなくなってしまった。

我々の幼少時、即ち昭和30年代になるが、気仙の地では公害はなく、海山と環境に恵まれた地域であった。ソ連の核実験が行われるたびに、放射能が含まれているので雨には触れないようにと注意を受けたのもこの頃である。だがこれは実験であり放射能の発生量はフクシマよりは格段に少なく、距離的にも相当離れているので、放射能汚染は無視できよう。

早春の田圃にはジェリー状の蛙の卵が水中に漂い、これがオタマジャクシとなって沢山泳ぎ出し、そして手足が伸びて子蛙に変身していった。初夏の夜、蛍が舞っていた。夏の太陽の稲穂の上を大きなバッタやシオカラトンボが飛んでいた。秋になれば、無数の赤トンボが空高く舞っていたものである。人糞による伝統の有機農法が一般的で、生物多様性が周辺の田畑や野山で観察されたのである。これ以降は高度経済成長期に入り、農薬が使われだし、農業の後継者もなく田畑は住宅地や耕作放棄地になってしまった。そして、当たり前に観察できた生物多様性も過去のものとなってしまったようだ。
裸足の乙女達(撮影日不詳:終戦前後か)
小細浦部落の周回道路で、浜に分岐する辺りと思われる。
2名、人糞桶を担いでいる(ダラ担ぎと呼んだ)。
ここも津波ですっかり流されてしまった。

このような環境で幼少時を過ごした我々が、来年還暦を迎えるのである。拙者の同級生を調査対象にして申し訳ないが、一つの例証として有益かと思うので報告しておくことにする。中学生時分(小学生から9年間一緒)の同級生名簿を見ているのだが、130数名中今日までに残念ながら故人となられた方が12(9、女3)。そのうち今回の震災や(交通)事故が原因のケースが、拙者の知っている限り4名。病没者は、思うに半数の5-6名前後か。とすれば、生まれて60年間で病気が原因で亡くなる比率は約5%となる。他校出身者と比較したことはないが、今日の日本に於いて標準的な数値ではないだろうか。

大量の放射能汚染から50年後の未来に、この数値がどのようになっているか非常に気掛かりである。我々の場合と差異がないことを願うばかりである。

---

PS:
拙者の親世代は、男子の健康優良者は招集され戦死する率が異常に高いので、疫学調査には向かない。拙者世代が、高度経済成長期前のピュアな自然環境の下で幼児期を過ごした最後の世代と言える。疫学調査上、本来あるべき数値が期待できる世代ではなかろうか。


但し、囲炉裏、竈、五右衛門風呂で燃やす薪からの煙を、日常の生活で空気と一緒に大量に吸い込む環境ではあったのだが・・・。

人気ブログランキングへ

0 件のコメント:

コメントを投稿