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2016年8月9日火曜日

違和感…


猛暑にもかかわらず、エアコンは一切使用していない。加齢のせいか、ある時からエアコンからの不自然な冷気が腰を冷やし、不快感を覚えるようになったからである。そこで猛暑対策として、南面のベランダにはスダレを吊るして直射日光を防ぎ、南北のマドも常に開放して、室内に涼風が流れるようにしている。それだけでも結構しのげるものである。それでも、汗はジンワリと噴き出し、思考力も衰える。そんな時には、寝転びながらTVでも観るに限る。幸い、オリンピックや甲子園とチャンネルを切り替えるのに忙しい。

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この時期は、広島・長崎の原爆慰霊祭も放送される。ちょっと観るだけで、なにやら違和感を覚え、チャンネルを切り替えることが常である。原爆症で苦しむ被爆者も未だ少なくないようである。歴史の犠牲者であり、誠に気の毒としか言い様がない。

「戦争」は人々に無数の不幸をもたらす。現実を直視すれば、原爆の犠牲者は、大戦で亡くなった人々の一部に過ぎない。また、「原爆」は、非人道的兵器と主張されても、正直納得できない。当方は、「原爆」=「原発」との認識があり、「原発」を再稼働しようとする現状、「原爆」を否定する了見には納得できない。「原爆」をこの世から排除するには、「原発」も同様に排除しなければならないと考えている。原発を一年稼働するだけで、広島型原爆の千倍の放射能を発生するという。それを30年稼働すると、単純に考えても、3万倍の放射能を発生することになる。核種によっては、半減期も短いものから数万年と様々であり、単純ではないが、とにかく「核の平和利用」との立場で推進してきた「原発」の方が、遥かに大量の放射能を、適切な処理方法が確立しないままに、この地上に日々生み出されている現実がある。
また、「原爆投下」には、当時としては巨大な航空機も必要不可欠であった。飛行機なくして、原爆は目的地に投下できない。危険なのは「原爆」だけではないのである。伝統的な歩兵戦や大艦巨砲戦が、前の大戦からは、航空技術の進歩により、制空権が作戦上最も重要になった。無差別空襲により、人的犠牲者は飛躍的に増大したことも忘れてはならない。だから、ドローンなんかも、使い方によっては物騒である。AIと連動し、これはいずれ、将来の戦闘の主役になるに違いない。宇宙空間の争奪戦も現実的である…。

原爆投下の歴史的評価は、71年前の視点と今日とではだいぶ違ってきているようである。ちょうどマリリン・モンローの写真を、目尻の皺の個所を拡大し、実は彼女はシワクチャでブスだったと、彼女を見たこともない現代人が勝手に評価しているようなものである。やはり、歴史全体の流れを捉え、個人個人がそれぞれ評価していく必要がある。

戦争は言わば殺人ゲーム。無謀な戦争を始めたのはどっちか…。ゲーム終了後に、チャンスで満塁ホームランを打った相手バッターを非難することはありえない。その殺人ゲームを、一方的に始めた側が、戦後イチャモンをつけるのもどうかしている。問題は、無謀な戦争を始めたことが第一に非難されるべきである。

こういう視点で私見を述べさせてもらえれば、「原爆被害」の責任は、誰が考えても無謀と思われる対米開戦を決断した当時の政府(その4年前に勃発した日中戦争が泥沼状態にあるにもかかわらず…)であり、また敵空襲を許し国民を守れなかった国軍にあると言わざるを得ない。

後者については、それまでなかったコールサイン(部隊の識別コード)B-29爆撃機が、広島に原爆を投下していることを知りながら、長崎の時には同じコールサインのB-29の接近を5時間前に捉えていたにもかかわらず、司令部では戦闘機に出撃命令を全く出していないいい加減さ。また、真偽の程はわからないが、以前読んだ本で、原爆攻撃の予告放送(インドのデリー放送…)を捉えた海南島の諜報部隊が、司令部に連絡したにもかかわらず、有効活用されずどこかで握りつぶされていたという。このように、原爆攻撃に対する積極的な対策が、何らなされていないのである。
原爆投下ではないが、310日の東京大空襲。実は、その3ヶ月前、1130日頃から東京は度々空襲されていたのである。310日に突然空襲されたのではない。十分な対策のとれる猶予があったのにも係わらず多くの犠牲者を生んだ。軍は市民を守る対策を何もしていなかったと言わざるを得ない。

日清・日露の頃より、「戦争」とは言わば日本の文化であった。だから、「降伏」や「捕虜になること」は、悪だった。上官の命令に反抗すれば、抗命罪という、恐ろしい刑罰(死刑)があった。このような文化背景の国から攻め込まれたら、あとは100%勝つか負けるかしかありえない…。それが、前の大戦だった。


それから71年後の現在の視点で当時のことを評価しても、正直どこか違和感を覚えざるを得ないのである。