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2011年11月10日木曜日

不自由な自由貿易

TPP交渉参加の議論が突如として持ち上がってきた。

国際自由貿易の一つの手段なのであろうが、現状でも十分輸入関税が安くなっているので、以前に比べれば、遥かに自由に取引されているではないか。更に自由にする必要があるのかは甚だ疑問である。しかも、TPPには大国中国もインドも参加していない。参加国で、経済大国は唯一アメリカだけと言うではないか。

国により、地理的条件、気候条件、経済条件、等々夫々異なっており、それを一つの土俵で競わせるのは酷な話しと、拙者は思っている。例えば、マラソンランナーも走り高跳び選手も、皆100mで競わせたらどうなるか。100m専門ランナーにとっては宜しいが、それ以外を専門とする選手には溜まったものではない。極端な自由貿易とは、そのようなものではないだろうか。

島国日本は他国と海で隔てられている。川を渡れば外国の、大陸の国々とは全く異なる地理的条件である。これを無視し、共通のルールでやること自体が乱暴である。やはり、貿易関税により、国内の産業状況(例えば、農業、工業、金融)に応じて貿易量を微調整していくのが、国際経済システを安定維持していく上で、本来あるべき姿と思っている。先の例で言えば、100mランナー同志、あるいはマラソンランナー同志で競うのが本来の姿ではないのか。

何が何でも自由貿易。だったら産業廃棄物や原発からの使用済み放射性廃棄物も、取引の対象になってしまうだろう。経済弱国の国民やその子孫にとって溜まったものではない。それはちょうど、フクシマ問題と同じではないか。東京が一番電力を必要としているのに、危ないと知りつつ、原発をカネと政府権力で、東電管轄地域外の福島に建設させたことは、国内問題ではあるが、最後の責任を経済弱者にカネで押し付けるという、一つの自由貿易経済の弊害モデルと言える。

既に、自由貿易の弊害が顕著な産業がある。それは林業である。木材が自由化され、安い外材が輸入されたことで、国内の林業は疲弊し、山林も荒れるに任せているらしい。一方、輸出国側でも、山の民にとり、森林を乱伐されて生活が破綻していると聞く。東南アジアの山林ビジネスは華僑が牛耳り、伐採し尽くせば別の山域に移動しまたそこを乱伐する。そこに代々住んできた地元住民にとり大変迷惑な話しである。極端な自由貿易とは、結局お互いを不幸にし、さらには地球温暖化問題にあるように、人類生存の危機を招来するとも限らない。事実、人類生存に不可欠な熱帯雨林の破壊は、自由貿易にその一因があり、日本もそれに加担していると言える。

また、疲弊した国内の林業につけ込み、外国資本が国内の森林を密かに買い漁っているというのも不気味である。貴重な水資源が、将来投機対象になる可能性も無視できない。水源の山域と海に流れる河川周辺を買い占めてしまえば、その流域の水は、下流の海岸に停泊した巨大タンカーに吸い込まれ、水を必要とする大陸まで運ばれていくことも考えられる。これも自由貿易の下であれば文句は言えないのである。

TPPを議論する以前に、国際共通の課題である地球温暖化を抑制する経済モデル、あるいは今回顕著になった脱原発を目指すための経済モデルを真剣に検討すべき段階である。その一つが、エネルギー節約の地産地消経済モデルが注目されている。これらの問題を全く無視し、地産地消経済モデルとは対極と思われるTPPの議論に突っ走ってしまうのだから呆れてしまう。

産業界は、地球の生態系を乱す程の膨大なエネルギーを消費してまで、国際貿易で大儲けを狙おうとしている。ならばもっとイージーな方法があるではないか。為替取引の政府介入である。予めその日時をリークしておければ、寝転びながらでも皆儲けられる筈。国家絡みのインサイダー取引?自由貿易を標榜し、一方で為替介入。為替相場を混乱させるのは、元々インチキではないのか。こういう政府に、自由貿易を主張する権利はないと思うのだが・・・。


為替相場の政府介入(円/ドル)
昨年から3度の大規模介入。これで自由貿易を主張できるの・・・?

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