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2011年8月23日火曜日

自衛隊の活躍

帰省から戻り、久々に近所の図書館に行く。雑誌を見ていたら、見覚えのある人物の手記が掲載されていた。以前、佐野眞一著の「津波と原発」に触れているが、佐野氏が震災直後に陸前高田を訪問し、会おうとした人物の一人だったのである。綾里出身の民間津波研究者、山下文男氏がその人。

3.11当日、高田病院の四階に入院中で、波に飲まれるところをカーテンに掴まり九死に一生を得ている。寒い一夜を病院スタッフに看護され、翌日自衛隊のヘリコプターで救出される。その後内陸の東和病院に搬送されたようである。見舞いに訪れた佐野氏と再会したのは同病院だった。山下氏は、共産党幹部時代に佐野氏の取材を受け、以来交流があったのであろうか。この面会時の忌憚のない会話の一部が「津波と原発」に載っていた。

「・・・これまで自衛隊は憲法違反だと言い続けてきたが、今度ほど自衛隊を有難いと思ったことはなかった。国として国土防衛隊のような組織が必要だったということがしみじみ分かった。・・・」(同書56)

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自衛隊20万人中、今回の震災救援活動に約半数の10万名が動員されたようである。対象地域は東北太平洋沿岸と広域ながら、震災直後の帰省時(322)に、気仙の地でも多くの隊員、装甲車両、トラック等を多数見かけたものである。

防衛面だけでなく、天災時の災害復興活動、最近では海外PKO活動への参加など、新たな役割も認識されてきた。以前、PKOの要請で自衛隊が戦後初めて海外派遣される事に対し、「侵略」ととらえる一部識者に根強い反発があったように思うが、最近はそのような声は聞こえてこない。そして今回の大災害時に、機敏に対処しうる国内組織は自衛隊以外に存在しないことも明らかとなった。

今回ほど自衛隊の存在を有難いと思った国民は、少なくなかったはずである。独立国家として、防衛を目的とした組織は最低限必要であることは、海外の事例を見れば理解できよう。日本は海で囲まれているので、大陸にあるチベットやモンゴル等と違い、陸からの侵入が無い点でまだラッキーであが、防衛力を全く不要という訳にもにかない。

今後、国際情勢はどうなるかは、よく間違う天気予報より、予測が難しい。適度な防衛力を堅持しておくのは当然である。必要なのは、時代状況に合わせ防衛力を調整していくバランス感覚あるいはフレキシブルな発想である。だが、組織の利権意識の強い日本では、この点が弱いので注意を要する。

防衛力を料理で例えれば、塩・醤油の類か。多ければ塩っぱ過ぎるし、無ければ味がしない。塩・醤油の例えで失礼かも知れないが、自衛隊組織が過去の帝国陸海軍のように過度に強大にならず、かといって全く無くなるという訳ではなく、程々の防衛力を国際情勢に合わせ適度に維持していくことが肝要であろう。

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防衛問題に触れたので、米日同盟についても触れておく。

国内やアジア全般の平和維持を考えれば、現状において米日同盟は必要と、既に洗脳されているのかも知れぬが、それを肯定する者である。そんな訳で、やたらアメリカの揚げ足取り的非難がマスコミに多いのが、拙者には気掛かりである。「反米」となると、論調が賑やかになってくる。確かに、9.11後のアメリカのイラク侵攻作戦は拙かったと思う。あの時のマスコ各社のアメリカの軍事行動を激しく非難して世論を煽り、ミュージシャンを始めとする若者達も反戦運動を展開したものである。

ところが、同時期の一層悲惨な状況にあったと思われるスーダンやソマリアの内戦については、国内のマスコミは殆ど関心を示さず、また若者の反戦平和運動もなかったように思う。このことから見えてくるのは、アメリカが関与する国際情勢は、国内マスコミの非難の対象になりやすく、あまり関与しないものについては無関心ということのようである。アメリカ発のあらゆる文化が浸透している今日でも、アメリカのやることは何でもかんでも潜在的に嫌悪感を持つ「反米」志向の識者が意外に多いように思えてならない。米日同盟がダメなら、独力で防衛かそれとも自衛隊を無くし防衛力を完全にゼロにするのか。いっそお隣の大国中国と組むのか、あるいはロシアなのか。オプションは様々である。

ただ「反米」を煽り立てるだけで無く、将来の方向性も明示してもらいたいものである。そうすれば、沖縄の米軍基地問題の対処も見えてくる。米日同盟を解消し、日本が単独で防衛すべきなのか、あるいはアメリカ以外の国、例えば中国と組むべきなのか。であれば、米軍基地は不要になる。実に単純明快。米軍基地に反対する地元民の、そのあたりの真意を聞いてみたいのであるが、マスコミ報道からは何も伝わってこない。ただ聞こえてくるのは「米軍基地反対」、そして基地さえ無くなれば平和になると。そう願いたいものであるが・・・。
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