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2011年8月4日木曜日

気仙の名峰五葉山

一つ上のかつての職場の先輩が、先週末で会社を退職した。暫く連絡をとっていなかったので、共通の知人から連絡先を教えてもらい電話してみる。時の隔たりを忘れ、山の話題で話がはずんだ。

辞令で部下のいないセクションに回され、つまらないので定年前に退職することにしたらしい。長年、先端機器の輸入販売に35年間も携わり、その分野の黎明期から今日の発展までを知っている数少ない貴重な人材である。だが、本人はサバサバした様子で、暫くは山登りに専念したいということである。先月は、東北の飯豊連峰と朝日連峰を歩き、今週末からはシアトルに行き、8日間ほど向こうの山を歩いてくると張り切っていた。山は4年前から再開したらしい。夏山は勿論、積雪期にも出かけるらしい。

「今度生まれ変わったらアルピニストになりたい」とまで言いきっているのには、正直驚いた。どのような心境の変化があったのだろうか。山の魅力に取り憑かれた特別な理由でもあったのだろうか。

学生時代にワンダーフォーゲルの部員として山々を歩いていたことは聞いていた。だが、それは男女仲良しこよしのサークル活動の域をでないものだった筈だ。社員寮で一緒だった頃はカラオの無い時代で、若手社員が宴会で披露する歌と言えば必ずエロ歌・数え歌。彼の感心するほどのレパートリーの豊富さは、そのクラブ活動の賜物であった。当時、上高地から涸沢経由で穂高岳に一緒に歩いたことがあるが、その後は長い間登っていなかったようである。

50代後半で、食料・テント持参で山登りとは大変な体力である。軟弱な拙者は、四十前にギブアップしているので、そのタフさ加減さがよく分かる。本人曰く「最初は大変だったけれど、登っているうちに筋肉が付いてきたようだ」と平然としたものである。アメリカから帰ったら再会することを約束し電話を切った。

年齢的にチとハード過ぎやしないかと一抹の心配がある。無理せずマイペースで、慎重に登山を楽しんでもらいたいものである。元気な話を聞いているうちに、拙者もお花畑の素敵な夏の山々を歩きたくなってきた。

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本州の、しかもほんの一部の山域しか歩いたことがないが、折角だから言ってしまおう。拙者的に、夏のお花畑の素晴らしいベスト・スリーはここだ。

1番: 白馬岳から朝日岳の稜線で、特に白馬大池への分岐点を過ぎ、
   朝日岳方面にやや歩いた辺り。登山者も激減し静かになる。
(特別GOODなのでカラー表記)
2番: 飯豊連峰の飯豊山近くの稜線付近
3番: 尾瀬ヶ原

一方、お花畑の最盛期には未だ登っていないが、期待度No.1の山は勿論、かつては仙台藩と南部藩を分け、現在は大船渡と釜石の両市にまたがる気仙の最高峰・五葉山で決まりである。

高校の文化祭が終わった晩秋に、若い女の先生を誘いクラスのメンバー全員で五葉山に初めて登った。頂上付近は初雪で視界がきかず、幻想的な風景だったことが今でも鮮明に思い出される。以来、帰省した時には何度か登っているが、未だお花シーズンだけは無い。頂上は平原状になっており、おとぎノ国の森のような五葉松の原生林やお花畑が点在する、まさに自然の庭園である。初夏のお花シーズンは絶対に素晴らしいと勝手に想像しているのだが、実際に行ってみて片思いに終わるとも限らない。

暫く登山から遠ざかっている間に、五葉の麓には巨大なダム湖が出現したらしい。終点の甲子でバスを降り、登山口の大沢まで歩いた道や脇の渓流は湖底に沈んでしまったのだろうか、残念である。お隣の気仙沼では「森は海の恋人」と素敵なメッセージの下に、牡蠣養殖漁師の方々が上流の山に植林を行って水源を守る活動は、全国的にも有名である。ところが大船渡では、これと逆行するようなことが行われてしまった。

山近くにいって破壊の現場に幻滅するよりは、いつも変わらぬ山容を遠くから眺めていた方が良いかも知れない。
 五葉山遠景 (末崎の穴通磯より)
対岸の山の後方に見えるのが五葉の山頂付近
(標高1,351m)
頂上付近の避難小屋は整備されており、
近くには湧き水が流れている。
小屋からは、漁火が見られる。
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