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2011年8月9日火曜日

輪行記録:1994年夏(1)

今週帰省するので、その前に過去の輪行記録を幾つかアップしておく。

輪行自転車1号のTRAVEZONEについては以前報告している。次の2号機については未だである。というのは、写真がどうしても見つからなかったのだ。それが、昨日やって出てきた。この自転車での輪行のことはよく覚えているのだが、その車体の色や形を、写真を見るまですっかり忘れていた。1号機はタイヤが細く華奢だったので、タイヤが太く林道も問題なく走れそうなものに買い替えたのが1994年。デザイン的には今日のフォールディングバイクと変わらない。だが、変速機が付いていないのである。
輪行自転車2号: 変速機無し!!

取り敢えず試験走行として、中央線を利用し塩山まで行き、大菩薩嶺と奥秩父山稜に挟まれた柳沢峠(標高1472m)の山越えに挑戦した。

輪行日:1994.8.13

中央線塩山駅Start→柳沢峠→丹波山村→多摩湖→多摩湖駅Goal

変速機無しでも意外と登れたのだが、問題は下りである。最も気持ちよく走行できる丹波山村付近の緩い下り坂で、ペダルが空回りし、全然スピードが出ないのだ。ギヤ比が登り用に設定されていたようで、やはり変速機が無いのは辛い。かといって、この種の自転車は、当時タウン走行を想定しており、変速機付でないのが普通であった。タイヤは、マウンテンバイク程太くはないが、ママジャリよりはしっかりしており、ダートの道でも問題なく走れそうである。

欠点はあるものの、何とか行けそうなので、次に選んだのは山岳ルートであった。

輪行日:1994.8.20

新宿前夜発の列車で甲府駅下車、駅前ベンチで野宿

甲府Start(4am) →芦安村→夜叉神トンネル→広河原→奈良田温泉→波高島駅Goal(4:30pm)

学生時代に北岳登った1970年代のイメージで出かけたのだが、驚いたことに随分勝手が違っていた。最終電車が通過すると、人は追い出され、駅のシャッターが下ろされてしまうのである。昔なら、真夜中でも駅の待合室には夜行列車を待つ旅人がおり、追い出されることはなかった。駅近くには深夜営業の怪しげな映画館もあり、ここでも仮眠することができた。夏は、早朝発の登山バスを待つ登山者で賑わっていたものである。これらは全て過去のものとなっていたようだ。パラパラ降りた登山者はタクシーに相乗りでどこかに行ってしまい、拙者一人が取り残された。駅前ベンチに横になり夜明けを待つものの、駅前サークルに侵入してくる暴走バイクの騒音に悩まされ、殆ど眠れずの状態であった。

今日の登山者は、駅から登山口までのルートには全く無関心である。交通機関の発達していなかった時代の先人達は、平地を歩き、前衛峰を越え、深い谷を渡り、そして南アルプスの主峰にたどり着いた。この日のルートは、かつてのアルピニスト達が歩いた道とも一部オーバーラップするのである。
ルート: 甲府→広河原→身延

甲府を早朝に出て平坦な道を暫く走り、芦安村には930amに到着。村外れの突き出た岩の下を通過。険しい山岳地帯に入ったことを感じさせてくれる。長いつづら折りの坂を登ると、夜叉神トンネルである。この長いトンネルを後方から駆け抜けて行く車に注意しながら何とか通過すると、アルプスの山々と深い谷が眼前に広がってくる。日本第二位の高峰・北岳の登山口である広河原までは、自動車は頻繁に通過していく。

広河原を過ぎると車は全く通らなくなる。トンネルを幾つかくぐり抜ける。その最初のトンネルは結構長く、照明の無い暗闇の中で方向感覚を失い、時々フラフラして側壁にぶつかりそうになる。出口の光が小さく見えた時にはホッとしたものである。次も同じようなトンネルであるが、行けども行けども出口の光が見えてこないのである。暫く進むと左にカーブがかかり、急に光が差して、まもなく外に出られた。出口直前で大きく曲がっていたのである。実に意地悪な作りのトンネルである。この最初の二つのトンネルが鬼門であろうか。それ以外は殆ど覚えていないので、比較的楽に通れたようである。

まもなく奈良田温泉に到着。ここで確か、この集落の戦後まもなくの頃に撮られた写真を見たのである。どの家の屋根も、杉皮で覆い石の重しを乗せた貧弱なものであった。周辺の山々は高く深く、戦前までは秘境の集落だったのかもしれない。自動車の通れる広い道がこの集落に来るまでに、相当の年月がかかったのではないだろうか。外界を結ぶ、今は舗装された道を下る。変速機無しの自転車につきペダルは空回りするだけで、スピードは一向に出ない。

冨士川を超えた波高島駅に到着。列車の時間を調べ、近くで適当な河原を探す。夏のサイクリングの最後に行う恒例の行水である。清らかな川の水に浸り汗を流す。すっかり着替えてから、自転車を収納し、甲府行きの列車に乗る。

兎に角、広河原を過ぎてからのトンネル通過が、最も強烈な印象の残るルートである。
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