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2012年2月24日金曜日

正月過ぎの帰省

20年ぶりに気仙ライナー(高速夜行バス)を利用し、正月過ぎに帰省した。前回は、参列リクライニング席で、移動中は快適な夜を過ごせたのだが、今回は歳のせいか、全くの同じ条件でありながら、座り心地が気になり殆ど眠れなかった。リクライニングにすると、体が座席に対して限りなく並行になり、車の振動で腰部が徐々に滑り落ちてしまうのが気になってしょうがない。腰部の席が、体に対して直角になるように角度を調節できれば、このずり落ちの問題は解消できるのではと思うのだが・・・。


旧4村連合体 - 今また交通弱者に:
JR大船渡線はいつ復旧するかわからず、自家用車の無い拙者には、帰省時の交通手段に当分悩まされそうだ。また、高速バスは、陸前高田でも竹駒寄りで、大船渡は盛サンリア前で、その中間に位置する末崎は素通りされてしまうのもシャクである。その間に、米崎、小友、広田、末崎と四つの町がある。このエリアの人口は2万人弱であろうか、公共交通の弱者に置かれてしまっている。
嵩上げ工事中

昭和2-3年に編集された末崎村史(著者:岩崎浅之助、当時末崎小学校校長)の復刻版が、実家にある。それによると、明治から昭和にかけて、これらの町(当時は村)4村連合の自治が運営され、また村対抗の運動会も開催されていたらしい。商工業の町である高田や盛・大船渡には、当時仲間に入れてもらえなかったようである。言わば、弱者連合だったといえようか。戦後の町村合併で末崎だけは大船渡市に編入された。平成の今日、かつての弱者連合村は、またしてもこのような状況に置かれている。


不便な交通網:
自家用車があれば問題ないのだが、老人世帯で車を利用できない家だってある。拙者の実家だったそうだ。が、昨年、近所にスーパーがオープンし買い物だけは便利になった。JAや仮設の診療所も町の中央にある中学校付近(中央といっても海から離れ、保育園と小中学校しか無かった)に移転してきた。町外に行かない限り、我が家においては以前より便利になったケースもある。問題は、遠くに出かける時だ。例えば上京する時である。一度、盛か高田に移動し、そこで一ノ関もしくは仙台行きの長距離バスに乗り換えなければならない。その便数はそれぞれ日に2便しかない。そして、始発の時間が6-7時とメチャクチャ早かったりする。バス停に近ければよいが、弱者地区にはそれに間に合うローカルバスが無い。一体、何を考えて運行スケジュールを立てているのだろうか。帰京する時に、一ノ関行きのバスを利用したのだが、途中、気仙沼でJRに乗り換えようかと一瞬考えた(4日間東日本JR乗り放題のチケットを入手していたので・・・)。ところが、そこでの待ち合わせ時間が1時間半。待っている間に、バスは一ノ関に到着しているのである。バカバカしい。バス会社は、意図的に接続を悪くし、JRへの客の流出を抑えようとしている魂胆がミエミエである。困ったものだ。JR利用者としては、大船渡線はせめて矢作(気仙地区西端の駅で唯一被災していない)まで来てくれると助かるのだが。
大船渡駅跡


大船渡の商魂:
斯くの如く、気仙ライナーは盛に7am前に到着した。自転車を組み立て、来た道を途中(丸森展勝地)まで戻ることになる。なるべく楽な平坦地をとるので、当然被災エリアを通る。大船渡町に入ると、かつての大通りは嵩上げ工事が行われ、舗道より50-100cm程高くなっている。朝のラッシュで車が多く、狭い車道をまともに走られないので閉口する。大船渡駅舎跡に着いた頃、朝日が昇る。このあたりもすっかり流された。ガレキの道を暫く走ると、仮設の飲食街に出た。商魂逞しい人々の負けん気を感じる。元々大船渡は港町で、飲み屋が多かった。今は、復興関連工事で作業員の出入りが多いのだろう。当然、夜は相当にぎやかになる。兎に角、人は食わなければならない。懐に多少ユトリがあれば、酒や色気も必要だ。
大船渡-仮設屋台村

末崎に到着:
同じ被災地でも、末崎の細浦地区(町の最大集落地)には、そんな気の利いたものはない。ガレキは殆ど片付けられ、ただ荒涼とした平地があった。ただ、ことごとく町が消え失せた陸前高田や気仙町の今泉辺りに比べ、大船渡線の山側や高台には、多くの家々が見えるので、多少はホッとする。町の再建は十分可能だと思う。町内には耕作放棄された田畑が多いので、被災者の高台移転の為の用地はなんとか確保できよう。従来の(部落)コミュニティを維持する上でも、一戸建てよりは、23階の低層集合住宅を建設するのは如何であろうか。土地が節約でき、しかも共同出資により遥かに安い予算で建てられると思うのだが。そして寒冷の地には、冬場は比較的過ごしやすい筈だ。

とそんなことを考えながら実家に到着した。

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